「Ifさん、貴方も農家の生まれでしょう。何故、農業を続けなかったの?」
「いわゆる五反百姓でね。農業収入ではとても生計を維持できず、父母の恩給で何とかやりくりしているのを小さい頃からずーっと見て育ったから、とても農業をする気にはなれなかったんだよ。」
「そうよね。業として農業を営むには、耕作できる一定以上の農地が必要よね。それに人手、農機具や資材、肥料や農薬の経費もかさむし。そして重労働で休みもない。更に台風や長雨、寒波など天候にも大きく作用されるから、実際、農業をやるとなると、なまはんかな気持ちでは出来ないわね、、、。」
「サーラ、俺ね、今年1年、田んぼの会で稲作体験をさせてもらって、改めて農業の大変さ、農家の皆さんのご苦労が分かったよ。それと同時に農業の魅力も。食物を育て、日々成長する姿を見る楽しみ、収穫する喜び。そして、仲間のみんなと力を合わせ、汗をかきかきやり遂げた後の爽快感、笑顔、、、。これは何物にも代えがたいモノ。農業をやる人だけに与えられるご褒美だと思ったよ。」
「そう、そのこと。農業は確かに大変だけど、収穫する喜びとみんなに食べて感謝される職業。それが若者に分かって欲しい、、、。だけど、今の時代は、便利さ、手軽な楽しみを追い求め、農業のように猛暑の中汗を流して畔や田んぼの草を取り、秋の収穫を喜ぶような気の長い作業は、若者には、魅力がないと感じるのが普通かもね、、、。でも、その傾向が加速したら、農業人口は更に減少するし、農村は衰退する。そして食料自給率は下がるという悪循環は止まらないでしょう。若者に農業の魅力を伝え、農業人口を増やし、農村に活気を取り戻すには、どうすればいいと思う?」
(明日につづく)
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