最初の職場は農政水産部団体金融課金融1係、農協を通じて、農業者への金融支援の担当だった。
公務員のイロハも分からない新入りに、いきなり大仕事が飛び込んできた。
『手作業だった利子補給事務(県が利息を負担し、低利で農家に貸し付ける制度)の電算化。
農業金融の手ほどきを受けつつ、農協や市町村向けにマニュアルを作った。
残業しても残業しても、仕事に追われる毎日。
『公務員は楽、17時には帰って、誰もおらん。』なんて、とんでもない。
そんなある日、『”公務員の裏”を知る事件』が起こった。
県庁の仕事の半分は『ハンコもらい』と言っても過言ではない。『課長や部長、重要案件は知事のハンコ(=承認)がなければ、事が進まない』。
財政課を廻して、知事決裁が必要な急ぐ仕事と出張が重なり、前日遅くまで残業し、予算執行伺い書類を作成。
「この書類は大至急、係長に廻して下さい」と付箋にメモして、隣の机に書類を置き、寮に帰った。
次の日の夕方、出張から戻り、課長決裁箱を探したが、書類がない。
おかしいと思って、「係長、私の書類、決裁してもらいましたか?」と尋ねると。
「うんにゃ、知らん。なんも見ちょらんど。」にビックリ。
書類は、隣の人はハンコを押し、その隣の机に置かれたままだった。
その上司に「このメモは見られなかったのですか?大至急で書いてあるでしょう!」と文句言うと、
新入りに咎められ逆ギレ。「何にぃ!」と椅子から立ち上がり、掴みかからんばかり。
課長や他の職員も『何事か?』と一斉に目を向けた。
「まぁまぁ、二人ともそうカッカしなさんな」の係長の一言で、何とか、その場は治まったが、
『公務員は誠実で信義を重んじる人との思い』が、『一瞬で不信と疑念に変わった。』
『それで、全体の奉仕者? 県民の声なき声に耳を傾ける? 組織で仕事? よう言うわ。』
『この事件を起点に以後38年の私の仕事の基本は、見せかけの公務員を名乗る人への反発と抵抗だったような気がする。』
今思い返せば、新入早々、『”公務員の裏”を知ったのは幸運だった』のかも知れない、、、?
嵐を呼ぶ男の船出に相応しい事件だった。
【公務員の多くは、真面目で誠実な人ですから、誤解しないで下さい。】
【真夏に狂い咲き始めた藤。主人にソックリて言わんでね!(笑)】
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