プレスセンター。価格交渉は丸く収まったが、別の大問題が起こった。
その要因は「キャンプに紛れた密入国、密輸、禁止食品の持ち込みなどの不法行為の防止。」
キャンプ地に選ばれた自治体は、出入国管理事務所、税関、動植物検疫所など国の機関に概要を届け出て、指導を受ける必要があった。
ドイツ協会から「船で荷物を送るので税関審査に立ち会ってもらいたい」との依頼があった。
「?船で?何だろう?」訳が分からないまま、担当のIさんが細島港門司税関出張所に赴いたが、困った顔をして帰って来た。
荷物はプレスセンターを設置する建築資材や放送機材。大型貨物船に満載だったそうだ。
担当官から「全部チェックするには1か月は掛かる」と言われ、「積み下ろしの許可が出ない」との事。
「ヒエー!それは困る。ドイツは納得せんじゃろ。Wカップは国を挙げての行事。何とかならんとね。」
「県の証明があれば許可するそうです。事務局長が一筆書いてくれればいいそうです。」
「いいよ。それで許可してくるっとなら、なんぼでん書くよ。で、何て?書けばいいとね。」
「不法な持ち込みは無い。との文言が要る」との事です。
「覚悟を決めて、罫紙に次のように手書きした」。もう23年前の事だが、その時の緊張感(=公務員として許される行為か?)、はっきり記憶に残っている。
「ドイツは2006年Wカップ開催国です。そのPRを兼ねて、シーサイドホテルフェニックスにプレスセンターを設置します。荷物の中身はその為の放送機材です。密輸品とか麻薬とか違法な物ではない事を証明します。万が一虚偽の持ち込みがあった場合は県が全責任を負います。年月日。職氏名。」局長印を押して渡した。
「まさか?麻薬やら隠しちょらんじゃろな?」多少不安だったが、何事も起きなかった。(笑)
「担当官は私以上に”葛藤”があった事と思う」が、「税関審査免除の柔軟な対応」をしてもらった。助かりました!ありがとうございました!
先ず、400人の記者に仰天、プレスセンターのハードネゴでフラフラ。そこに、放送機材を満載した大型貨物船。そして税関審査、、。
「Wカップの想像を絶するスケール、ダイナミックさ」に度肝を抜かれた。
「この分では、キャンプ本番に何が起こるか分からん!」覚悟を新たにした!
明日に続く。
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