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ご先祖様

お盆が近づいた。この時期になると、私達夫婦は乗り越えた辛い過去を思い出し笑う。

「お盆の帰省は控え、友人・知人との会食は避け、感染防止にご協力ください。」N大臣の訴えが空しく聞こえる。この人たちは”ご先祖様”に対して、特別な思いはないのだろう、、、?

この1週間は雨の予報、昨日、早めの墓参りを済ませた。

私達夫婦、歳を重ねた今は、墓前で亡き父母や”ご先祖様”に対して、素直に手を合わせられるが、新婚の頃は、母との確執で随分悩まされた。

長男(跡取り息子)の私、親戚の反対を押し切り、宮崎に家を建てたが、墓だけは西都に残した。

明治生まれ、筋金入りの母、『長男が親の面倒をみるのは当たり前』、”ご先祖様”の供養、親戚へのお盆や正月の仁義は特に厳しかった。

私もそうだが、妻は若く、仁義やしきたりなど、まだ全く知らず、関心も薄かった。

同居し、子育てプラス母の世話で手一杯なのに、『陰湿な嫁いびりではないが、やれ墓掃除、やれ彼岸、やれお中元、やれお歳暮など』と、世間の常識を強要される妻は、たまったものではない。

私はほとんど残業、『疲れて帰宅すると、母の小言を妻から聴き、慰めようもなく、ただ聴き続けるだけ、、。』

次の朝、母に話すとヤブヘビ。『世間の常識をするのは当たり前(=正論)と主張。正論を曲げる事は一度もなかった。』

親の言うことは絶対。『今、生きちょるモンの方が大事じゃろ!』と叫びたいのを何度も堪え、

私達は、仕方なく、『子育てより、”ご先祖様”や親戚の仁義を優先せざるを得なかった。』

この頃は、正直、『妻に申し訳なく、長男で生まれた事を悔やみ、宮崎に帰って来たことを後悔した。』

『正直でカタブツの母と30年の同居、、、。』

「あなたは、よう頑張った。」墓参りの時、妻に感謝の言葉をかけることにしている。

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