退職して間もない平成19年4月初め。寒川(さぶかわ。西都市三財の山奥)。廃村。
「何かある。何か見つかる。」そんな想いに駆られ、行ってみた。
西都から国富へ抜ける県道。三財に入ると寒川の道路標識。そこを右折。田んぼ道を突っ切り、川沿いの道を約30分。林道へ。
杉林。細い急カーブ、登り下り。ハラハラドキドキ、車体をこすり、走らせた。
薄汚れた寒川集落の立て看板。ようやく民家が見え、空き地に車を止めた。
何故か、胸が高まった、、。
窓も屋根も崩れ、カズラや雑木が入り込んだ家。ポツリ、またポツリ、、。
「住まないと、こんなにも朽ち果てるのか、、。」
うつろな心に「人生の過酷さ。山村生活の厳しさ。住み慣れた土地を追われた村人たちの無念、、。」そんな感傷が重なり、ジワリと涙、、。
あてもなく辺りを歩いた。
学校。切なさ、空しさ、、。一層募った。
ここが校庭? 雑木の中に、苔に覆われた数体の彫像。
校歌の立て板も。
一本の桜。沈んだ心が少し癒された、、。
誘われるように、校舎へ。恐る恐る入った。
荒れた教室。机や椅子。当時のまま、残っていた。
黒板に寄せ書き、、? 最後の別れの時、書いたのだろう、、。
「元気で、また、会おうね。」
「みんなで勉強したね。いっぱい遊んで楽しかったね。」
「ありがとう。」
泣きながら書き、抱き合う子供たちや先生、、。
その光景が目に浮かび、涙が止まらなかった、、。
外壁にも「別れを惜しむ言葉の数々、、。」
「退職。自分探し、、。」
「友達と離れ離れになる子供たち、住み慣れた土地を追われる村人の想いに比べれば、何と小さなこと、、。」そう思えた。
うつろだった心。一本芯が入り、シャキッとなった。
「心の宝物」が見つかった。
(彼の地の)子供たちに「ありがとう」。 声を掛けた。
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